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中華思想(世界の中心、文化の華)
この旅の折り返し地点を迎えました。いざ、上海へ。
また、飛行機で、成都まで戻るのもいいのですが、成都から、上海の鉄道のチケットが、何日後に取れるか判らないので、僕は、一気に上海まで、飛行機で戻る事に決めました。
中華西方航空という飛行機会社です。
出発の当日、空港へ向かいました。
チェックインする為に、カウンターに行くと、沢山の中国人が並んでいました。
って、いうか、カウンターに、中国人が、ぎょーさん群がっていました。
僕も、この群れの一番後ろに並んでみたのですが、後から来る中国人達は、僕の後ろではなく、カウンターの横に次から次へと、擦りこむ様に、割り込んできます。
僕は、その信じられない光景を見て、あっけに取られ、自分の目を疑いました。
今日は、ドラクエの発売日じゃなく。ここは、スペースマウンテンの列なんかでもない、ただのチェックイン。なのに、この行列に、無法地帯っぷり。
気が付けば、いつのまにか、カウンターに対して、人間逆ピラミッドが、シャキーンッと、積み上げられてしまいました。

そう。この人間逆ピラミッドは、仕事の遅いカウンターの係員と、並ぶという常識を持ち合わせていない中国人たちの、シンフォーニーの結晶です。
さらに、次から次へと中国人が現れては、割り込んできます。なので、待てど暮らせど、ピラミッドの面積が小さくなっていかず、いっこうに順番が近づいてきません。
このままじゃ、今日が終わっちゃう・・・。
そう悟った僕も、カウンターに横から割り込んで行ってやろうかと思いました。ですが、いかんせん僕の場合、筆談です。
強引に割り込んで行って、筆談・・・。
う〜ん、難しい・・・。
どれくらい難しいか・・・。
ある小さな池があります。
その池では、一人の人間が鯉たちに、えさをやっています。当然、鯉達は、人間の足元に群がっています。鯉の数も相当な数で、足元は鯉達が、隙間がないほど、ギュウギュウ詰めになってしまっています。
そこに、
一匹狼ならぬ、一匹鯉が、一番大外から、グイグイと無理くり割って入り、周りの鯉どもを蹴散らします。
そして、そのえさをあげている人間に、
「あ〜んっ。」
って、口を開けて、スプーンでペディグリーチャムを食べさせてもらう。
非常に判り辛い例えなので、きっと、しない方が良かったのだろうとは思いますが、したくなったので、あえて例えてみました。
何はともあれ、割り込む事が不可能な僕は、悲しいかな、逆ピラミッドの頂点でこのピラミッドの面積がゼロになるのをひたすら待つしかありませんでした・・・。
やっとこさ、飛行機に乗り込むことが出来た僕は、何を考えるでもなく、ぼんやりと車窓をながめていました。
2時間程、飛んでいたでしょうか。
飛行機は、着陸態勢に入りました。
上海〜成都まで、鉄道で48時間かかったというのに、飛行機だと、ラサからでも、わずか2時間程度。チケットを買う時には、もう少しかかるって聞いていたのですが、僕の聞き間違いだったのでしょうか。
案内に従って降りると、係員の人に、黄色い札を渡されました。
なんだか判らないまま、出口ではなく、待合室に連れて行かれます。
キョロキョロと辺りを見渡すと、西寧と書いてあります。
もしかして、乗り継ぎか・・・?
でも、手元にはチケットが一枚しかなくて乗り継ぎなんて話は聞いていません。国内線で乗り継ぎってのは、また珍しい話です。
まぁ、チベットから、上海まで行く人なんて少ないのでしょう。どうせ、考えても分かんないし、人に聞いた所で、中国語も分かんないので、周りの流れに身を委ねる事にしました。
そして、連絡が入り、黄色の札を持っている人は、搭乗してくださいとの事です。
乗ってみるとさっきと同じ飛行機です・・・。
乗り継ぎではなく、電車の停車に近い感があります・・。
飛行機に乗り込み、さっきのチケット通りの席を探し、座っていると、スッチーがやってきて、
「席を移動してください。」
と、言ってきました。
さっきの、停車で、いっぱい人が降りたので、乗客の席が偏ってしまったので、機内のバランスを保つ為の、移動らしいのです。
・・・・このご時世・・・、操縦もほぼコンピューターが行い、機長もあまり仕事がないという話なのに、乗客全員のチームワークで、バランスをとるマンパワー飛行・・・。
少なからずの不安が込み上げてきます・・・。
しかし、心配していても、どーしようもないので僕は、移動し、窓の外をぼんやりと眺めていました。
すると、また、しばらくして、飛行機が着陸態勢に入りました。やっと着いたかぁ。と思い、降りてみると、
また、札を渡されます。
む、まさか、今回も・・・。
辺りを見渡すと、
ん、西安・・・?
各駅停車の鈍行かいっ!!
そして、待つこと30分、再び放送があり、僕は、飛行機に乗り込みました。
今回も同様、乗客の乗り降りで、バランスが崩れてしまったので、席替えです。もう、二度目なので手馴れたもんです。僕は、窓際に移り、暗くなり始めた外を、ぼんやりと眺めていました。
すると、どこからか、中国人のおっちゃんがやってきました。そして、ものすごい剣幕で僕に、話し掛けてきます。
もーれつに喋ってはくれてますが、残念ながら全然判りません。
そのうち、前の席のラックに置いてる地球の歩き方を指差し始めました。僕は、それを手にとりました。
すると、激しくこの本を指差し、大声で怒鳴りだしました。
判りました。
おっちゃんは、ラサ〜西寧間、ここに座ってて、このラックに本を忘れたから、それを知らないかと聞いているっぽいのです。
僕が知ってる少ない単語の一つ、
「メイヨー、(無いよ)」
と、言ってみましたが、全く納得しないおっちゃんは、なおも激しく大声で怒鳴り続けています。
僕は、正直参りました。どうしようかと。それ以外の単語も知らないので、説明できません。それにしても、どーみたって、中国語を全く話せへん僕が、中国語の本なんか盗むはずがありません。
この大胆な冤罪のかけ方は、どーなんでしょうか・・・。
この毛利小五郎と化したおっちゃんは、さらに、怒涛の中国語でまくし立ててきます。
すると、この大声を聞きつけたスッチーがやってきておっちゃんに事情を聞き始めました。
全く、中国語はわからないんですが、表情とジェスチャーで何となくわかります。
2人のやり取りです。
「お客様、どーしました?」
(少し不審な顔つき)
「こいつが、俺の本を盗みやがったんだ!」
(僕を激しく指差す)
「本と言いますと、ここのラックに置いてあった本ですか?」
(ラックを指差す)
「そうだ。」
(うなづく)
「それでしたら、忘れ物として、あちらにお預かりしておりますが。」
(前方を指差す)
「あっ!?そっちにあんの!?フッ・・・。ワシに恥じかかすなや。」
(眉間のシワが無くなり、鼻で失笑)
そうして、おっちゃんは、僕に一言も無く、また、僕の方を振り向きさえもせずスッチーと共に、前方へ消えて行ってしまいました・・・。
チュー国人
世界のチュー心で
自己チューを叫ぶ
そうして、飛行機は、1時間くらいして、空港に着きました。今度は、紛れも無い上海でした。

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