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タイの魔可不思議アドベンチャー 投稿者 K君




今から約10年前に友達と行った海外旅行でのお話です。

海外旅行2回目の僕と初海外のS君は、 「微笑みの国:タイ」 に学生貧乏旅行でした。


発展途上国が醸し出す、街の危うさ。

そこに住む人と気候がおりなす熱気。

まさに、僕たちにとって、その国は、
アドベンチャーワールドそのものでした。

一泊100バーツ(300円)という安宿で寝泊りし、毎日、目に入ってくる光景や人との出会いに胸を躍らせ、見るもの一つ一つが、
『ドラゴンボール』を発見したような感動で包まれる、そんな日々の連続でした。


そんなある晩、S君が部屋に戻ってきて、開口一番


S君「マーケットでいいもん、ゲットしたぞ」

と、得意げに話しかけてきました。


僕「何、買ってきたん?」


と聞くと、右手を掲げ 「これや」と、振り上げた右手の手には、ギターらしきものが握られていました。


僕「それ、ギター?」


S君「ちゃう、ちゃう。タイの民族楽器や。ギターみたいやけど」


僕「へー、いくらしたん?」


S君「まー、値切って、1000バーツ〔3000円〕や。安いもんやぞ」




彼の興奮振りは凄まじく


まるで、


カメハウスで、テレビに映るぴちぴちギャルのエアロビを見て興奮する亀仙人のような鼻息・・・


はたまた


ピラフが悟空からドラゴンボールを奪い取った時のような何倍にも開ききった瞳。



そこから延々と始まった。。。。。。。


S君のギターへの思い。。。。。


音楽への想い。。。。。


そして音楽で飯を食いたいという将来の熱い話。。。。。



僕は、
ヤムチャの後ろにいつもいるプーアルのように、なんの反論もせず、彼の話をただただ 「うん、うん」「ガンバレ、ガンバレ」と聞いていました。


そんな話の中で、僕はS君の音楽への熱い思いを改めて十分に感じる事が出来ました。


つまり熱い音楽人S君にとってのギターと言う存在は


『ウーロンが神龍に願ったパンティー』

に迫る宝物なのです。

なので、我々の宿代の10倍に相当するギターはS君のバンド魂に比べるとちっぽけなものです。



次の日から、S君は、このうさんくさいギターを肌身離さず身につけ、ずーっと、楽しそうに眺めていました。


そして、さすが自称ギターリストだけあり、僅か数日でそのタイ風ギターを見事に操り、 男二人の汗くさい旅に、バックミュージックという彩りを添えてくれました。


僕とS君とギターの旅は、再び始まりました。

タイの観光の定番といえば、お寺巡り。

ワットポーやワットプラケオという名寺を観光ブックとギターをそれぞれの片手に、 回りました。


そんなさなか、事件は起きました。。。


町にも旅にも慣れて来たということで、ワットアルンという少し町から離れたお寺に行こうということになりました。


そのお寺は、『暁の寺』という別名があるだけあり、島に建立されており、渡し舟に乗らないといけません。


しかし、渡し舟に乗るのは初めてで、相場がわかりません。


案の定、右も左も分からない日本人二人に群がるボートの客引き。


浅黒い肌で声をかけてくるタイ人と交渉すると、ふっかけられることを数日の経験で体得していたので、なにを言われても、NOと言い続け、安全度の高いツーリストオフィスにいきました。


ツーリストオフィスに行くと、鍛え抜かれた体にグラサンをはめた、無表情な警察官のような人が数人いました。





見た目。。。レッドリボン軍。。。。




おそるおそる

僕「あの島までいくらですか?」

と尋ねると


レッドリボン軍「あの島までは、200バーツだ。」



僕の心の声「はい・・・? 宿2泊分の勢いあるやん」



と思い、ネゴシエーションに入りましたが、


1、人力で漕いでいくこと

2、往復の分であること



と、目で分かることを理由にし、いかつい恰好を武器に断固たる決意を見せ、譲る気配がありません。



仕方がない。。。



ウーロンを旅の仲間にするかどうかを悩んでいたブルマのような腑に落ちない僕らは、 しぶしぶ200バーツで乗船することにしました。


この船は、よくいえば、味があります。

しかし東南アジアに違和感なく溶け込むその船は、悪く言えば普通のボロ船。

そして、人力ならではの遅さ。


優雅とは程遠い、スローリーな舟旅でしたが、現地民の舟漕ぎとトークを楽しむことがプライスレスな時間でした。


そして、ゆっくり目的地を目指していると
後ろから 突然



ビシューーーーーーーーーッツ!!



と、勢いよい音が聞こえてきました。

その正体は、
自分で折った柱にのって移動する「タオパイパイ」ではなく、日本人数人を乗せたモーター付きのボートでした。


フリーザがナメック星でみせた高速移動並みのスピードであっと言う間に追い越して行きました。


それを見ていた、僕達の乗るぼろ舟の船漕ぎが


「あいつらツアーのヤツだな。 この船の何倍もの高い金出して、渡る距離じゃねーよ。

あんたら兄ちゃんは、その点、利口だ。」



と言い、
べジータが物語の後半で見せる横顔のように、言葉は無骨でも、僕たちだけにみせる特別な優しさを感じさせてくれました。



ただ、あまりの遅さに徐々にイライラしてきて、その舟の上での時間は、長く感じられ、
まるで悟空がへびの道を、何冊ものジャンプにまたがって走っていた時間の様でした。


やっと岸に着き、島に下りようとした瞬間、いきなりその優しき舟漕ぎが



船漕ぎ
「2分後に出発するから、遅れないように」


と、ポツリと言いました。


「はい?」 と思い、確認しようと迫りましたが、船漕ぎは、無表情に無言で時計しか見ない状態。さっきまであんなに優しかったのに、



ランチさんもびっくりの豹変ぶり。



そして、すでに
グルドの時間止めは始まっていました。


僕「やばいぞ。すでに2分のカウントスタートしてるぞ。」

S君「いそげ!!」




と、船上のスローな時間が嘘のように、島の中を走り回りました。


先ほどモーター付きボートで軽く抜き去られたツアーの人たちを、今度は、全力疾走で抜き去るはめになり、記念撮影を手早く一枚だけ撮り、また来た道を
バータなみに宇宙2の速さで帰りました。


その甲斐あり、ギリギリ帰りの出発時間に間に合いました。

そして、僕らの帰りを待っててくれた
ランチさんは、しっかりと黄色い髪から紫の髪に戻っていてくれました。



岸に着き、船を降りて、近くの売店でジュースを買い、腰を下ろし少し落ち着き、ガイドブックを何気なく開けました。

すると、先ほど乗ったボート場の写真があり、そこに 恐ろしい表記を見つけてしまいました。



【相場】手漕ぎボート 往復で1人2バーツ



1人2バーツ。。。。



僕たち1人で200バーツ。。





界王拳 100倍!!




魔人ブーでも舌で倒せそうなんですけど
(タオパイパイ風に)。。。





そして無言のまま、S君は、ギターを構え


S君「一曲ひくわ。」


と、チューニングの乱れきった音と疲れきった声を絞り出してくれました。



ただ、けたたましい町の騒音の中で、ほぼかき消されるるギターの音色は、
後半のヤムチャ並みの存在感の少なさでした。



僕も何かしないと悪いかと思い、おもむろに空き缶を拾ってきて、目の前に置き、即席路上ライブ会場を作りました。







30分後、終了。









空き缶の中のチップ、0バーツ。。。。








界王拳0倍。。。。。。。






Mr.サタンにさえ負けそうなんですけど。。。



本当に魔可不思議な旅はこうして幕を閉じようとしていました。。。









そんな僕が、イタリアで恋泥棒になるのは、まだぁまだぁ先のお・は・な・し。。。