はじめに 今回は、小学校の時からの友人、通称「かう」君と前回も利用したアムトラックにて一ヶ月でアメリカ大陸一周計画を立てました。 もう僕は、海外三回目で、何よりアメリカが二回目という事もあり結構自信がありました。 しかし、問題は、かうです。彼は、高校の時、吹奏楽部で全国大会に出場し金賞を獲得する程の人物なのです。 部活の超優等生=勉学の超劣等生=英単語の語彙、極少 まさにこの方程式に当てはめると三秒で解ける問題です。 そんな背景を憶えておいて下さい。 ちなみに、彼は、この後、 SERVICEを、サーバイス(意味不明)と、読み。 車窓からから見えた大牧場の豚の群れを見て、 「うわー、ポークやぁ!!」 と、叫んでいました・・・。 (正解はピッグ) ロサンゼルス まず、飛行機は、関空→ロスです。 理由は簡単、一番安いからです。往復でなんと、4万1千円。 それと比べると日本の国内線は、べらぼうに高い。北海道や東北まで、片道3万円!もします。 一旦、乗り継ぎの方が安いからという理由で韓国へ行きます。 そのガソリン代と時間で東北まで行けるような気がするけど・・・。 僕達は、アムトラックフリーパスを日本で購入していたので、後は列車を予約するのみです。 アメリカに着くとすぐにロサンゼルスの駅に向かいました。予約は、電話でも出来るのですが、会話と違いジェスチャーも筆談も出来ないので、僕らにとっては、相当な難関です。 ですから、結局面倒くさいけど足を運ぶ事にしました。 そして、カウンターの太った白人のおばちゃんに明日の便の予約を頼んだんですが 「これは、電話でアムトラックセンターに一旦予約して機械にインプットされてから、ここで発券します] と・・・。 しかし、それではここまで来た意味が全くありません。 粘りました。 しかし、おばちゃんはチョコをばりばりとカジリながら、 ただ一言、「電話しなさい」と。 「あれ日本やったらバリバリせんべい食いながら仕事してる様なもんやなぁ。」 と、かうはなんだか楽しそうです・・・。まぁ、僕が電話するんですから・・・。 その後、電話予約を何回もトライしたのですが始めの機械での音声案内の聞き取りにくいこと。 そして、言う通りに番号を押すのですがうまくいきません。その旨を何回もおばちゃんに報告に行ったのですが、がんとして 「日本語ガイドに切り替わるからそこの案内に従いなさい」 と、動く気配もない。うーむ、これはまさに山の不動状態。 そして、かうがぼそり、 「俺ら、これから一ヶ月間ロスなんちゃうん?はははー。」 って、すごい他人事です。 電話の機械と2時間くらい格闘し、曙なみのKOを喰らったので、電話をやめ、対戦相手を別の黒人のおばちゃんに切り替えることにしました。 そして、その黒人のおばちゃんに困って泣きそうな顔で予約をお願いする 「忍法!甘えん坊の術!!」 を使いました。 すると!?その作戦は見事に成功!! 明日のチケットと予約、発券してもらうことが出来、一日観光しサンフランシスコへと向かうことが出来ました。 サンフランシスコ サンフランシスコを出発する朝、鉄道の時間まで結構カツカツで、バスに乗り込み駅に向かいました。しばらく走っていると、かうが、 「トイレに行きたいっ!!」 と、言い出しました。ここでバスを降りるとという事は、今日の鉄道には、乗れないということです。 そして、僕は、 「我慢は出来ひんの?」 と、まるで『高速道路のお母さんと子ども』の様な会話をしていましたが答えは、 「むりー。もれるー。」 降りる事にしました・・・。 そして、何故か、僕もトイレを探す為に重いバックパックしょって猛ダッシュ・・・。 これも、また友情・・・? ソルトレイクシティ この街は、次の冬季オリンピックがあるという事で、ウインタースポーツをする訳でもなく、ただ行ってみました。 2月にも関わらず、ロス、サンフランシスコは結構温かかった。 なのに、、、ここはすごい積雪でかなりの寒さ。 朝の五時に到着したので、身動き取れず、駅で待機していました。 2,3時間待っていたら、近くで待機していたアメリカ人のおじさんに声を掛けられ、喫茶店が近くにあるというので、真っ暗ななか三人で向かうことにしました。 男は、外に出るやいなや態度が急変。 「うおー!がー!」 と奇声を発し、積もっている雪を蹴っ飛ばし始めました。 僕らは怖くなり、こんな真っ暗闇の中で、どこかへ連れていかれるんじゃないかと脅えました。 が、しばらく歩いた後、ちゃんと喫茶店へ連れていってくれました。 そこでは、再び普通の紳士へと。 「なんなんや!?この雪好きアメリカ人は・・・?」 そして、食事の後、結構なスリルを頂いた彼と別れを告げ、ユース探しに。 そこのユースまで、相当歩きました。しかし、部屋は無常にも満室。帰り際に来た白人には、なんと部屋を斡旋していました!! 「こ、これは、人種差別では!?」 この怒りに身をゆだねている僕らは、また帰りの長い長い道のりを歩く間中ずっと 「ソクトレイクシティー!くーるうったまちー!」 と、『清春(黒夢)の東京』をソルトレークシティに置き換えて、ものすごい字余りで、しかも、ここだけしか知らないので、ずーっとリピートして歌い続けてました。 しかし、よくよく考えてみると、あの白人は予約をしていたのかもしれませんでした・・・。 ソルトレイクシティ(モルモン教編) 唯一の観光スポット、モルモン教の総本山大聖堂に行きました。 ここは、6500人もを収容する事が出来、世界最大級のパイプオルガン(1万1623本のパイプで構成!)を設備し、一般の人にもそのリサイタルを聞かせてくれるのです。 この大聖堂には、一本も釘を使われておらず、その為に一本の柱もないのだそうです。それによって音響がすばらしいとか。 演奏が始まりました。実際、その音響効果は抜群で、このパイプオルガンの演奏を一層引き立たせます。 この1万1千本ものパイプによるハーモニーも、本当に繊細で、とても優しい音色を奏でます。 そして、その音色は、僕らの体にすぅーっと入ってきました。また、僕らがそのハーモニーに吸い込まれる様な錯覚をも感じさせました。 そして、ゆっくりと僕ら二人は、深い眠りに入り込んでいきました・・・。 おそるべし、モルモン教・・・。 デンバー 壮大なロッキー山脈に行って楽しかったー。 ガイドのおっちゃんが、「この化石は、すごいぞー!」 と言って僕らのカメラを取り上げ勝手にシャッター切っていた・・・。 シカゴ ウインドウシティと呼ばれていて、とにかく風が強い。 ここのユースで、一緒の部屋の南アフリカ人に 「ロビーで、みんなで喋ってるからよかったらおいで。」 と誘ってもらい、フランス人、オーストラリア人で談話を楽しんだのですが、どうしても、オーストラリア人のオージーイングリッシュが理解出来ません。 そして、僕が理解できない顔つきをしていたのでしょう。フランス人がそのオーストラリア人のオージーイングリッシュを毎回聞き取りやすい、英語に直してくれて、僕に話してくれます。 その英語は、非常に聞き取りやすく。そのおかげで、僕は、会話に入っていく事が出来ました。(もちろん、かうは、ちょこんと座ってるだけです。) 英語のみでみんな会話をしているのに、英語の通訳がいるとは、僕は、まるで、日本語を日本語に訳してもらっている モノマネ大賞の淡谷のり子状態です。 その後、そのオーストラリア人は一切、僕の方を向かなくなってしまいました。それは、まるで、淡谷のり子の苦言を一切無視して、 下ネタものマネをし続ける 清水あきら状態でした。 そして、かうは、なぜか乾燥イチジクをもらってました・・・。 ニューヨーク ![]() ≪すたちゅー おぶ りばてぃ≫ ![]() ≪その自由の女神を食い入る様に見ている僕。左から三人目≫ ここは、ウルトラクイズの大ファンだった僕にとっては、聖地です。自由の女神を見た時は、体が震えました。 ニューヨークで、まず僕達がしたかった事はヘアーカットです。地球の歩き方の女性の投稿に、 「ブロードウェイでのカットは最高です。ニューヨークに来る前は、髪が伸びていても我慢します。」 というのにもろに影響されたからです。 僕達は、ニューヨークに来るまで、各々ヘアースタイルを考えていました。僕はその当時、白に近い金髪だったので、簡単に色を付けられると思い、赤に染る事にしました。 かうは、女の子に間違えられるくらいの長髪で、パーマをかけることにしました。 僕らは、一路ブロードウェイに向かい、街頭で美容室のビラをもらったので、その店に入りました。 そこで、僕は美容師さんとヘアカタログで相談し、赤色を指定。 かうは、「ぷぁーま、ぷぁーま。」と変な発音で、連呼していました。 まずは、カットで整えます。僕は店の入り口レジ前で、かうは奥の席に座りました。 そして、五分くらいたった後、かうは美容師と席を立ち移動しました。おそらくパーマをかける為の移動なんだろうと思い、目の前の鏡に映る彼を追っていくと、 なんと、レジに行ってお勘定をしています。 「ぷぁーま」が、通じなかったんでしょうか。 そして、なぜか、髪型はフロントバックにしたてあげられていました。 かうは、僕の見てる鏡の方を見て、苦笑い・・・。 もちろん僕は、爆笑!! その後、僕のカットも終わりました。そして、カラーに入るのかな?って思っていたら。なにやら、嫌な予感が・・・。 あれっ!?僕もフロントバックに・・・? そして、お勘定へ・・・。 もちろん、かうは、そんな僕を見て大爆笑!! そんな僕らは、もう一回パーマやヘアカラーをしてくれと頼む気力も無くなり、店を出る事にしました。 ただ、金髪にフロントバックというセンスだけは許せません! 顔はもろに東洋人ですので、ジェームスディーンと、いうよりも 田舎のバリバリヤンキーです。 こんな頭で外に出れる訳もなくレジの前で髪を両手で何回も何回もシェイクを繰り返しました。 店員さんは、訳がわからずぼーぜんと見ていました。 そして、この時は、ある悲劇に気付かなかったのです・・・。 アメリカ人は、日本人と比べ、髪の量が少なく、細い。だから、ハサミを縦に入れる必要も、スカす必要もなく、またその技術も無いという事です。 ひたすらハサミを横に入れていた記憶がよみがえります。 そうして、僕らは、おかっぱ頭に!! 金髪におかっぱ!!このアンパランスさは・・・一体・・・。 言葉も通じない国で散髪なんかするんじゃなかったと、目に涙をいっぱいに溜めながらも、僕は、 「せつこー、おなかすいたわー」というギャグと、『帽子』を データベースのお気に入りに追加した・・・。 ニューヨーク (トイレ編) ニューヨークを二人でいつも通り歩いていた時です。昼食が合わなかったのか、二人は同じタイミングでお腹の調子が悪くなり、しばらく前に通り過ぎたマクドナルドへと面舵(おもかじ)いっぱいし、全速力で引き返しました。 そして、マクドの中のトイレの場所を見つけると、そこには長蛇の行列が! こんなにトイレが混んでいるのを見るのは、大阪の花博以来です。 そんな都合を知るはずもない僕らのお腹は、いっぱいいぱいでカラータイマーが鳴っています。 僕らはじゃんけんでどっちが前に並ぶかを、決める事にしました。この行列を待っている間に、いつ我慢の限界が来るか予測不可能です。 この状況下で、唯一僕らが出来る事と言ったら勝つ事。ただ、それのみです。 じゃんけん開始!!この勝負は、お互いの執念のぶつけ合いになりました。 なんと、あいこが5回以上も続いたのです。 まさに、デットヒート!! しかし、勝利の女神は、かうに微笑みました。 それから、かなりの間待ちました。そして、遂に僕らの順番になり、先にかうが、トイレの中に入っていきました。 ここのトイレが混んでいるのは、このマクド内には、トイレがここに一つしかなく、男女共用、しかも便器がたったの一つなのです。 そして、かうが出てくるのを今か?今か!と待ちわびていた その時っ!! 一人の黒人のちびっこが、この僕の後に続く長蛇の列に対して、「ニコニコ堂、松野明美の駅伝」の様なゴボウ抜きを見せ、さらには、僕の順番まで抜かし、何を思ったのか、今、まさに、かうが憩いの一時を過ごしているであろうトイレに入ろうとし、ドアノブに手をかけました。 すると、、、 「ガチャ!!」 なんと!? ドアが、開いてしまいました!!! 鍵が壊れていたのです!! そして、ズボンを下げう○ちをしているかうの姿が、並んでいる我々の前に! かうは、ひどく動転してしまって3秒程、フリーズしてしまっています。 そして、何か言おうと頭をフル回転させています。 僕は、そんなかうが、どの様な英語で、このちびっこを叱りとばすのかで、興味深々でした。 すると、かうは裏返った高〜い声で、 「わぁーおー・・・」 「ぷぷぷっ・・、ぷぅはははははー!ぎゃはははははーー!!」 僕が壁を叩いて大爆笑している間に、ちびっこは、どこか消え去ってしまいました。 かうには、勝利の女神とともに、笑いの天使も降臨していたようです。 ニューヨーク(ユース編) 心の傷も癒えぬ内にユースに戻ると、同じ部屋のイタリア人、アイルランド人、ベルギー人、スペイン人が、固まって何やら話をしていました。 そして、彼らは僕達にも声を掛けてくれ、 「これから、このユース主催のロックカフェの生ライブへのツアーがあるから一緒に行かないか?」 と、誘ってくれました。 僕達は、ロックにはそんなに興味はありませんが、仲間が出来た事が嬉しくて同意しました。 みんなは、ロックが大好きみたいで今から大盛り上がりです。 そして、19時に再集合場所のフロント前に、かうと二人で向かいました。すると、さっきの同室の人達とユースのフロントのおやじとが、何やらもめていてオヤジは鼻息あらく興奮しています。 ベルギー人のローレンスに聞いてみると、なんと、その対象は僕ら二人だというのです。 「なぜ?その張本人が、ここにいるのに??」 と、思いながらも詳しく聞いてみると、僕らは、当時20歳。アメリカでは、21歳以上からしかお酒を飲めないので 「連れて来るな。」 と、いうことだったのです。 早く言ってくれれば、 「じゃぁ、いってらっしゃい!」 と、言って見送ることが出来るのに、彼らのその猛烈に抗議する姿は、 まるで炎の男、星野仙一です。 そして、彼らの口論はますますヒートアップ。 そんな、マシンガンイングリッシュを僕達が、聞きとれるはずもなく、 そして、また、その間を割って、 「あのー、僕、あんまりロックに興味が無いんで・・・。」 なんて、口が裂けても言えない状況です! すると、おやじの放った、 「判った!連れてきても良いが、もし、酒を飲んだりしたらつまみ出すぞ!」 と、いうこの言葉に、 中日ドラゴンズベンチから一斉に、イタリア人、アイルランド人、スペイン人の乱入です。!! もう誰にも止めることは、出来ません。ここで、僕らが辞退するのは、 「実は、デッドボールじゃないんです。はははー」 と言う様なもの。 そして、遂に交渉決裂!! アイルランド人のベンが、 「近くのアイリッシュバーだったら俺の顔でビールが飲めるぜ。」 と、言ってくれ、 みんなは、心から楽しみにしていたロックカフェを蹴って、僕ら二人を選んでくれたのです。 さっき、出会ったばかりだというのに!!申し訳ない気持ち以上に嬉しい気持ちでいっぱいです。 そして、みんなで軽く腹ごしらえをした後、みんなでベンの知るアイリッシュバーへ向かいました。 そこでは、僕達もビールを飲む事が出来ました。、 さっきの乱闘騒ぎのネタ、ベルギーのビールについて、イタリアのサッカートークで盛り上がりました。 が、しかし、僕はお酒を飲むと脳が働かなくなるので、あまり英語が出てこなくなり、また、話す気にもなれません。 しかも、この飲み会は朝の3時まで続き、もう精神的にも、肉体的にも、そして、英単語の在庫的にも、ノックアウト寸前でした。 そんな時、実はイギリスタイムスの副編集長をしているベンは、僕に、 「なぜ日本人の年配層は、黒人を避けるのだ?」 という質問をし、僕の 「別に、差別なんかじゃなくて、ただ、怖いんじゃないかな?それは、ゴリラが、怖いように。」 この何気ない一言が、副編集長のハートをがっちりと捕らえてしまい、 僕は、ものすごい量の質問という名のフラッシュピストンマッハパンチを浴び、見事、ノックアウト。 僕は、深くマットへと沈んでしまいました。 その時、かうを見てみると、スペイン人のカルロスと二人っきりでユースを出てから、なんと今まで、ずっとニコニコと談笑しているじゃないですか!! 延べ、10時間近くも!! 後から、何をしゃべっていたのかを聞くと、 「いやっ、いとこの仁ちゃんのおじさんにそっくりで、 意味は判らんかったけど。なんとなく!」 ・・・彼は、間違いなく世界チャンピオンです・・・。 ![]() ![]() ![]() |