はじめに。 これが、僕にとって二回目の海外旅行でした。大学の二年生の夏の事です。 今回一緒に旅行した友達は、いや・・・、なんちゃって関西芸人キンキキッズの言葉を拝借すれば、「今回の相方」は、高校と大学の同級生、直也。 彼もまた、K君、かうと同様海外は初めてでした。 実は、僕は地元で安曇川4兄弟という団体を結成していました。 ・長男は、友彦(ホングコング編登場予定)。 ・次男は、僕たおたん。 ・三男が今回一緒にタイツアーに参加する直也。 ・四男があめーりか1でお世話になった・・・、いや、お世話したK君です。 (誕生日別順) 主に、どの様な活動を催しているかとと言うと、話せばとても長くなってしまうので、本当は割愛したいのですが、これを知らなければ、この話も半分しか理解出来ないと思われるので、説明しておきたいと思います。 僕らは、ファミレスで朝までドリンクバーのみでしゃべりまくるという暇潰し集団です・・・。 続いて、三男の直也について紹介をしておきます。 彼は、地元のファッションリーダーでありながら、無類の映画好きです。もうちょっと簡単にいうと、一人おすぎ&ピーコです。 そんな彼は、何故か僕と一緒にいると他人に絡まれるという癖(へき)があるのです。だから、今回の彼との旅行もまた、何か面白い事があるんじゃないかとウキウキウォッチングでした。 ちなみに直也少年の絡まれ事件簿というのは、高校の沖縄への修学旅行の時です。滋賀県からバスで伊丹空港までバスで向かいます。 もちろん僕らは、ど田舎高校生。 飛行機に乗るだけでみんなそわそわしちゃってます。 名神高速を通って伊丹まで行くのですが、二時間くらいバスに乗ると途中吹田サービスエリアでトイレ休憩を取ります。 僕もトイレに行くと、直也が大きい方のトイレで並んでいました。 そして、直也の順番が来たので直也がトイレに入ろうとすると、突然横からトラック野郎が割り込みしてきました。 そして、そのトラック野朗は、第一声、直也に向かって 「並べやぁぁぁ!!」 と、見事なまでの豪快な逆ギレを放って、トイレに消えて行きました。 僕らも、びっくりし過ぎて、あっけに取られていたんですが、この事態を理解出来ない直也が僕に確認するように、小さな声でボソリと 「俺の方が、並んでたよなぁ・・・??」 と、つぶやくと、、 ドアが再び、ガチャリと開いて、 「なんやぁ!文句あんのぉかぁ!」 「・・・・・。」 僕たち、田舎の高校生は、ガラスのハートを持っているので、こんなヤカラに絡まれてしまうと、かなり凹んでしまいます。 修学旅行は沖縄旅行三泊四日。開始2時間で、未だ沖縄本土の地を踏んでもいないのにブルーを製造してしまう。 それは、もう名人芸です。 しかし、僕にとっては特ダネ大スクープ。僕は、直也と別のクラスのバスだったので、伊丹空港までの30分でバスの全員へと号外を出しておいてあげました。 まぁ、他にも色々あるんですが、これ以上説明すると直也のプロフィールサイトにベクトルが思いっきり傾いてしまうので、そろそろタイのお話へと参ります。 入国審査 入国審査。僕の経験では、アメリカのみです。 アメリカの入国審査は、めちゃくちゃ厳しいのです。 「何泊か?どこに泊まるか?」 などを細かく聞かれます。 山田くん(あめーりか編2参照)なんかは、入国時にどこに泊まるかを決めていなかったので、答えられず、別室送りになり、あやうく強制送還されそうになったというくらいです。 僕の知り合いのOさんは、出張で行ったにも関わらず、どこに泊まるか言えなかったので、強制送還されたそうです。 また、それどころでなく、二度と入国出来ないらしいのです。 だから、海外の先輩風を台風級にビュービュー吹かせている僕は、緊張を隠せない直也に、機内で英語での質問への答え方を色々と伝授していました。 いざ入国審査になると、僕は、もうお手のもんです。 「I will stay six days」 「sightseeinng」 「I have 500 US$」 等々、尋問、質問何でもござれ! なんたってネイティブ英語を経験しているのですから。 僕が一足早く終え、ハプニングを起こしている事を期待して直也の方を見てみました。 すると、やっぱしカウンターに座っている入国審査官の男性の他に、もう一人女性の審査官が詰め掛けられ、なんと二人がかりで尋問されてるじゃありませんか。きっと、彼は,絡まれフェロモンでも分泌しているに違いない。 しかし、今回の相手は国家の治安を守る入国審査官です。彼らは、法に乗っ取って正当に絡んでいるのです。 直也は一体、何を犯してしまったのでしょうか。 よくよく見てみると何か様子が変です。審査官の男性も女性もなにやらニヤニヤと笑っています。しかし、直也は、あたふたと困惑しています。 あまりにも妙な絵づら過ぎて、ここからでは、全く予想不可能です。 そして、ようやく通過させてもらった直也に歩み寄り、 「おいおい、大丈夫やったん?何聞かれてたん?二人がかりやったよな?そんで、今、あの人ら笑ってなかった?」 「いやぁ、入国審査官が、いきなり近くを通った女性の審査官をこっちに来てって呼び出してん。 そして、俺にこの女性にタイ語で綺麗ですって、言えって言うねん。全然解らんって言ったら、俺に続けてって言い出して何回も、綺麗ですって、言わされて笑われた・・・。」 さ、さすが「微笑みの国、タイランド」と自称、他称されるだけの事が、あります・・・。 きっと、空路からの入国者を利用してでも「笑いを取る」という厳しい戒律でもあるのでしょう・・・。 そして、今回の直也少年の絡まれ事件簿も、やはりタイに入国する前の事でした・・・。 エメラルド寺院 僕らは、ツアーに参加していたので、観光もバスで色々連れて行ってくれてとても楽ちんです。ただ、僕の大好きな現地の人たちと触れ合うという事がほとんど出来ないんですが・・・。 エメラルド寺院とは、、豪華絢爛にエメラルドグリーンに輝くお寺です。ここも、他の観光地と同様、ガイドさんに誘導してもらって入って行きます。 そして、タイの国にとって、とても大切な遺産なのでしょう。入り口には、なんと右手にライフル銃を持った守衛さんが悪い奴が入って来ないかと、毅然とした態度で立っておられます。 こんな姿は、日本で見れないのでアジアに来たんだなぁって、なんだか嬉しくなっちゃいます。 しかし、こんな所にどんな悪い奴が入ってくるんでしょうか。おそらく一日中立っているだけなんでは? そんな疑問を胸に、僕らがその守衛さんの目の前を通り過ぎようとすると、守衛さんが動き出しました。 そして、僕らの前に立ちはだかります。 「あれ、、、僕?なんで!?」 鉄砲を持った人に止められると相当怖いです。僕が、何かしたのでしょうか?僕にも、直也の絡まれフェロモンの残り香(のこりが)ついていたのしょう。 その様子を見て現地ガイドさんが飛んできました。 「あー、あなた、ズボン破れてるネ。サンダルや短パンも入れないヨ。だから、そこの店でレンタル服あるから、借りてクダサイ。」 タイのお寺では、ズボンの膝の部分が少し破けているだけでも不謹慎ということで入れないのでした。でも、誰がはいたか分からないような汚いレンタルズボンなんてしたくありません。 悔しいのでハンカチかなんかで破れている膝の所をけが人の様にくくって、足を引きずって入ってやろうかと思いましたが、残念ながら男二人。 ハンカチのようなコジャレタものを持ち合わせていませんでした・・・。 って、いうかそんな事をやったら今度はTシャツと胸に穴が空いていたかもしれません・・・。 仕方なく一人ぼっちで入り口で待つ事に決めました。 そんな僕に、後ろから 「がはははははっはははははっ! あほや〜!!」 と、豪快な罵声が飛んできました!! 「誰だっ!」 と思い、後ろを振り向くと! ・・そういえば・・同じツアーにいた様な見覚えのある男ですが、でも一度もしゃべった事がない・・・。 僕の不可解さとは、裏腹にその爆笑王は、豪快な笑い声と共にエメラルド寺院の中へ消えて行きました・・・。 それから直也も含め、みんな入って行ってしまったので、仕方なく一人で待っていました。 待ち時間が結構長くて、退屈してきました。 そこで、僕の大好きな人間観察を行うことにしました。 っと、そこにノースリーブでやってくる欧米系女性が来ました。その姿を見て、この人も僕の運命を辿るんだろうなぁ。 ってワクワクしながら見ていると、上にカーディガンを羽織りだし難なく中へと入っていきました。 っと、そこに、短パンの欧米系男性。 「この人こそ僕と、同じ運命を辿れ!」 と今度はある種、祈りを込めた希望的観測の目で見ていました。 すると、短パンの先にチャックが着いていて、袖をつけて、なんと長ズボンに早変わりしました・・・。 誰も止められない・・・。 その内、ツアーの人たちが全然帰ってこないので、心細くなってきたのですが、しばらくすると、直也が他の人より先に出てきてくれたので、二人で待っていました。 「待つべきものは親友」 とは、昔の人は良く言ったものです。 そして、ゾロゾロとみんなが帰って来ました。 僕らも一緒に歩き出すと、さっきの爆笑王がやってきて、 「なんで?なんで?入れへんかったん?」 と、嬉しそうに聞いてきます。 「いやっ・・・、ジーパンが破れてるんで・・・。」 「わっはっはっはぁ〜! そうなんや〜!!ガハハハァァ〜」 「・・・。・・・・・。」 なんで、僕は初対面の人に、なれなれしくこんなにもバカにされなければ、いけないんでしょうか。 間違いなくこの男は、「人類みな兄弟」の意味を間違って解釈しています。 しかし、その旨をこの男に告げられずに、出来れば黙秘したい内容の質問攻めがなおも続きます。 「ほな、ずっと何してたん?」 「いや、ここで、ずっと一人で待ってましたよ。」 「あ〜、ほんまぁ?わっはっははっはぁ〜!!」 「・・・・・・・。」 この男・・・、推定・・・40歳前。 シルベスタ・スタローン似。こてこて関西弁使用者で、おそらく大阪府南部出身者。 殺意と共に、興味もフツフツと湧いてきました・・・。 その男失礼につき・・・。 その男は、このツアーの中でも僕と直也の注目を釘付けにする存在です。今日は、おそらくバンコクで買ったであろう、お世辞にも、 「素敵なTシャツですね♪」 とは言えないゾウさん柄の藍染め&キラキラ金具付きTシャツの着こなしです。そして、帽子にはジャマイカって描いてます・・・。 さらに、僕らの注目度が増します。 バスの中で観察していると、爆笑王は一人で景色をずっと眺めています。今日はバンコクからアユタヤ遺跡まで向かっているのですが、朝がとても早かったので、僕はウトウトと寝入ってしまっていました。 そんな時、直也が僕をゆすり起こしました。 そして、僕に、 「見て!あの男、あの女の人狙ってるで!さっきから、やたら話掛けてるもん!」 目をこすりながら見てみると、確かにその前に座っている30才過ぎの女性の椅子に乗り出して、話掛けています。失礼な上にスケベ。 なかなか個性的で、ますます興味が深まります。 そんな日の夕食で偶然、隣にその男が座りました。 この男に色々と話し掛けられてきます。 僕も、色々と質問します。 結果、しゃべってみると、なれなれしいけど、 「いい人じゃん♪」 今後、この人と一緒に行動したら楽しいだろうと僕のお笑いスカウターが、高数値をビビビっと示しました。 さらに、直也のスカウターは全く当てにならず、さっきバスの中で話し掛けていた女の人は、 なんと、奥さんであったことが判明・・・。 誤解も解け、この夫婦と仲良くしたくなってきたので、僕はこの夫妻に、 忠誠を誓う意味も込めて、相手の懐に飛び込む明智光秀もびっくりの寝返り&よいしょ作戦を決行しました。 「さっきねー、バスの中でお兄さんが奥さんの事を狙ってるって、この直也が言ってましたよぉ。」 「このゾウさんTシャツいいっすね〜。どこで買わはったんですか〜?」 「ジャマイカ行かはったんですか〜?すごいなぁ〜。」 これらが功を奏し、これからはめでたく四人で楽しいフリータイムを過ごす事になりました。 お買い物 アユタヤ遺跡に行った時の事です。あまりにも暑いのでドリンクを買うことにしました。すると、南国の代名詞、ヤシの実があります。 ヤシの実にストローさして飲むなんてバキャンスムードが満点!! うれしくなって、さっそく一つ頼むと顔の大きさくらいある実の下手を豪快に、ナタで叩落とし、ストローをさしてくれました。 僕は喉がカラカラだったので、勢い良く飲み始めました。 「いただきまーす。」 ごくっ・・・。 ・・・あれっ・・・まずい・・・。 直也も飲むと。 ごくっ・・・。 ・・・うん・・・・・まずいな・・・。 南国天国パラダイスのトゥロピカルドリンクのイメージと全然違って、ぬるくてなんだかまずいのです。 こ、これはJAROに国際電話しなければ・・・。 そんな姿を見かねたのか、タイの文化をバカにされたと思ったのか、違うツアーのタイ人のガイドのお兄ちゃんが、わざわざ僕らに絡んできました。 「ヤシの実ジュースは、おいしいヨー!!ナンデー??」 「いや、まずくて飲めへんって!!良かったらあげるし全部飲んで。あれっ!?もしかしてガイドさんも飲めへんとか〜ぁ????」 ヤシの実にがっかりさせられた僕は、ガイドのお兄ちゃんに八つ当たりしてしまいました。 しかし、ガイドのお兄ちゃんは、 「ホントにおいしいヨ。じゃぁ、飲むヨ!」 と、1リットル弱はあるだろうと思われるやしの実ジュースをごくごくと勢い良く飲み始めました。 このお兄ちゃんは、無心であまりにも勢い良く飲むので、びっくりしながらも、彼に 「やっぱり、まずいやろ?」 と聞いたのですが、顔を横にブンブンと振り「NO!」とアピールしながらさらに、ごくごく飲み続けます。 信じられない僕は、 「いや、ホンマは、まずいんやろ?」 ごくごくと飲みながら、顔を横にブンブン!! 「もう無理せんでいいから、美味しくないんやろ??」 ブンブン!! 「無理すんなって!!」 ブンブン!! そして、ついに、 「ぷはぁぁあ〜!!」 彼は、見事にその1リットルはあろうかというヤシの実ジュースを全て飲み干してみせ、 そして、一言叫びました! 「ムゥマァーズイッ!!」 ・・・青汁のCM・・・? ヤシの実は、エキゾッチックなトゥロピカルドリンクではなく、エキスチックな健康食品でした・・・。 お買い物 2 ![]() 観光地を歩いていると、沢山の土産売りが近づいてきます。僕は、南国のセカンド代名詞ハンモックを、なんと日本円の500円玉で購入し、手に持って歩いてました。 それを見た別の土産売りは、ビジネスチャンスを感じたのでしょう。持っていない直也に密かに交渉を始めました.。 彼は、何かを企んでいる様な怪しげな顔で直也の右側にすり寄り、耳元で人指し指を立てて 「しっ!おニイサン、ワタシ、ヤスイ、200バーツ!ナイショ・・・。」 「おおぉ、マジで!?」 と、この土産売りに興味を示して直也でしたが、しばらくブツブツとつぶやき始めました。 「いや、ちょっと待てよ。1バーツが3円としてぇ、200バーツやしぃ、 200バーツ×3円=600円やから・・・。」 って、お前の方が高いやんけ!!」 直也は、アジアで絡まれてもそいつを蹴散らす強い漢(おとこ)へと変身しつつありました・・・。 ゾウさん 僕らのツアーでは、アユタヤでゾウさんに乗る事が出来ました。これは、僕らにとってこの旅のメインイベントだと言っても過言ではありません。 実際に乗ってみるとゆらゆら、ゆらゆら歩くゾウさんの背中の上は、 「チョーきもちー」 のです。 そんな僕らの浮かれ具合は、ワールドカップで優勝した時のブラジル国民レベルです。 その僕らが、狂喜乱舞している時です。頭の上で運転しているタイ人のお兄ちゃんが僕らに向かって、日本語で、 「じゃぁ、頭(ゾウさんの)に乗っても良いヨ!こっちに来て!」 と、言ってくれました。僕はそんなオプションがあるなんて事を知らなかったので、驚きと喜びで、嬉しくて嬉しくて言われるままに頭の方へと移動しようとすると そんな僕を制止するように直也が、そのお兄ちゃんに向かって和製タイ語で言いました。 「アタマ、何バーツ・・・?」 「・・・・。お、おカネ・・・いらないヨ・・・。」 「ゼロバーツ?」 「ゼロバーツ・・・。」 「オーケェェ!!」 直也はアジアに来て、さらには絡まれる芽さえつむげる強い漢へと変貌を遂げました。 バックパッカーたおたん。(直也談) たおたんは、バスの中で僕に 「あ〜、俺は、もっと現地の人たちと触れ合いたい。こうして、いつも、このバスの上から現地の人たちを見下ろす様に見るのは、なんか嫌やなぁ。ここから降りて行って、同じ目線で物を見て、話をしたい!」 そんな熱い事をのたまっていました。 ツアーで、遺跡に着いた時の事です。この時期のバンコクは雨季で湿度も高く、気温も平均最高気温が33°とめちゃくちゃ暑かったので、 彼は、さっさと遺跡全体を見て周り、さっさと記念撮影をし終え、 僕に 「めっちゃ暑いっ!はよバスに戻ろ!」 と、バスに向かって、いちもくさんに走って行きました・・・。 ・・・バス・・・好きやん・・・。 彼の熱さは、タイの暑さの前ではチープな飾り物でした・・・。 ![]() ![]() |