いざ!ブラジルへ! ブラジルは南米では珍しくビザが必要です。そのビザも珍しい物を揃えなくてはなりません。 1、住民票 2、パスポート 3、預金が30万円以上の通帳 4、顔写真(7cm×5cm・上余白が1cmで顔が4cm) とっても3が気になるところですが、僕が一番困ってしまったのでは4の写真でした。 安い1分間写真だと4×3cmとかしかないので、僕の手元にはそれがなく、だから 「まぁ、適当に。」 といういつもの超いい加減さで4×3を出しときました。 すると、旅行代理店から 「たぶんいけると思いますが駄目な場合出発までに間に合わず、ブラジルへ行けない可能性が出てきます。なので、今すぐ写真を送付して下さい。」 との連絡がありました。そこで、時間が無いのでデジカメで撮って、プリンターを使って送付する事にしました。 僕の家には写真をプリントできるプリンターが無いので、幼馴染みの「べん」という友達の家でお願いする事になりました。 まずは撮影です。 バックは無地なので、白い壁の部屋に行きました。 べんも証明写真の時は、同じ様にデジカメを使うという事だったんで、とても手馴れた感じで僕を次から次へとテンポよく誘導してくれます。 そして、上余白が1cmで顔が4cmという事なので、その調節の為、べんは前後に行ったり来たりしてくれるんですが、そのデジカメは僕の目から見ても100%ズーム付きなので不安は募ります・・・。 そして、ちょうどいい距離が定まったみたいなので、べんは、 「よし、じゃぁ、行くでー!!はい、チーズー!!」 「プププッ!!チーズって・・・。」 「何笑ってんねん!そんなんじゃ、受からへんぞー!もう一回や!笑うなー!」 「はいっ、チーズー!!」 「プププッ!!あかん。無理!わっはっはははー!」 彼は、チーズの意味も、ビザの写真を企業面接の写真とも大きく勘違いしていました。だから、笑わせない為の言葉も、僕を笑わせる言葉になってしまっている事に全く気付いていませんでした・・・。 そして、結局その写真はブラジル大使館で、使われる事はなく、ただ単に僕を笑わせる為だけの存在になっていました・・・。 カナダの乗り換え 僕の家から南米までの道のりは、 たおたん家→→→→→→ (2時間半) 関空→→→→バンクーバー→→→→トロント→→→→→サンパウロ (9時間) (4時間半) (13時間) と、各空港についてから搭乗時間まで2、3時間あるので、延べ30時間くらいもかかってしまいます。そして、僕は乗り物で一泊以上する時は、必ずトレーナー、ジャージにサンダルと履き替えて、ほぼパジャマ状態のリラックスモードに突入します。 この日もしっかりその格好をしていました。 そして、基本的に長時間移動の前の日は徹夜をして、ご飯の時間以外は機内では溶けるように泥睡(でいすい)をしています。 だから、トロント空港に着いて乗り継ぎの為に空港内を歩いてた時は、頭もボーッとしていたので、まるでインターホンで目が覚めて宅配便を受け取りに出て来た大学生の様な面がまえです。 そんな僕に一人のブレザーを着たおじさんが声を掛けてきました。 「(移動が)長かったですねー!」 「あっ・・・。そ、そうですね。実は、僕、カナダは、乗り換えだけで まだ、サンパウロまで行かないといけないんです。」 「そうそう、僕もですよ。と、いう事は、サンパウロで開催されるNGO 国際フォーラムに参加しはるんですか?」 NGO国際フォーラム参加・・・。 って、ほぼパジャマ姿の僕をどのアングルからどー見て、そー見えるのか不思議でたまりません。 なので、きっと、このおじさんがNGO日本代表であって、その自慢話をしたいんだろうなぁと思い、聞いてみると予感は、的中。 でも、ちょうど僕も 「NGOの人ってボランティアなのに、どこからお金をもらってるんですか?」 という、トリビアの種を前々から抱いていたので、しばらくその話を聞き、色々と詳しく教えてもらいながら二人で歩いていました。 それから、エスカレーターで一緒に降りようとしていた時です。このNGOおじさんは、急に 「あっ!?僕の友達が呼んでるんで。すいませんっ!!」 と言いながら、今まで来た道を逆戻りして行きました。僕はそのままエスカレーターを降り、道なりにボーっと歩いてて、ドアから出ようとしました。 すると、なぜか側にいたカナダ人の警備員さんに止められてしまいました。 僕は何故止められたのか判らなかったので、周りを見渡してみました。すると、ただの乗り換えのはずなのに、僕が来た道には荷物が回っているテーブルがあり、それらを通り抜けて出口から出ようとしていました。 て、言う事は、ここは出国ゲートです。 だから、ここを一度出てしまうと、再び入国手続きを踏まないと空港内には入れないのです。 とても危ないことをしてしまうところでした。警備員さんのおかげで大惨事をまぬがれる事が出来ました。 しかし、これにはさぞ警備員さんの方も驚いたでしょう。出国ゲートから、真冬で極寒のカナダの冬空へ日本人の兄ちゃんがほぼパジャマ姿でサンダル、そして、手ぶらでフラフラ〜っと出て行こうとしていたのですから・・・。 そしてよくよく考えてみると、さっきのNGOおじさんが来た道を引き返していったのは、僕と二人して歩いている道が間違っている事に気付いたからです。 それにしても、何故、一言僕にも教えてくれなかったのでしょうか。 僕が察するには、きっと、 NGO日本代表のあのおじさんは、人生を賭けて世界中の恵まれない人々に愛の手を差し伸べていますが、目の前のいかにもアホそうな日本人の兄ちゃんには、差し伸べる手は残念ながらもう余って無かったのではないでしょうか・・・? 僕のトリビアの種は、一つは解消しましたが、また新たな種が芽生えました。 ![]() ![]() |